会議全部ふっとばして社員の集中力を10xした話(ビッグバン)

こんにちは!経営企画の仕事をしているudonです。1年半前の見習いQA以来、2度目の文章です。今回は10X社内の会議のルールを整理し、そして全社員の未来のカレンダー予定を一旦全部消す、通称「ビッグバン」の第一回を実施したのでその背景や内容について書きます。

(イメージ)

10Xでは社内におけるコミュニケーションを大きく「同期」「非同期」に分けています。同期は会議や突発的な電話など同じ場にいることが前提であるコミュニケーションを指し、Slackなど非同期は必ずしも同じ時間での往復を前提としない文章やドキュメントによるコミュニケーションを指します。入った当初は「ドウキ・・?ヒドウキ??」とドキドキしてた私ですが、2年も経つと慣れてしまいました。慣れって怖いですね。

話が長いという皆様の期待を裏切ることなく、タイトルにもなっているビッグバン(会議の全削除)の話にいくまで5,000文字嵩んでしまったので、ビッグバンに興味がある方は全部読み飛ばして「Step 3: 会議の全削除(ビッグバン)の実行」までいってください。

見直しの背景

10Xの非同期コミュニケーションにはSlack(蓄積していかないフロー情報のやりとり)、Notion(蓄積すべきストック情報*のやりとり)が使われています。これらは1年前に整理をしています。

note.com

なお10Xではドキュメント文化と、当初からSlack/Notionが浸透しているため、コミュニケーションに使うツールでのゆらぎはありません。他社の話を聞いていても、一部の部署はGoogle documentに残ってしまっていて、、といったコストがないのは実行者としてラッキーだなと感じます。

当時非同期コミュニケーションについての見直しを行った際に、同期コミュニケーション(=会議)については後述するNo MTG Dayの導入のみで、具体的な定義や仕組みの導入まではしていません。それから1年経過しメンバーも2倍近くに増え、組織の拡大とともに接点をどう持つのが良いのかは難しくなります。そのこともあり社内でも「会議が多い」「集中した時間の確保が難しい」という声を聞くことが増えました。そうしたことから、当時は見直しの対象外であった同期的なコミュニケーションについても、見直しをかけることにしました。

*なお1年経って経過を見ていると、slack = フローはかなり浸透していると思いつつ、notion = ストックと一概にも言えず、フローもかなりあり悩ましいなと思っています。このあたりはまだ整理はできていませんが、下記のような整理を進めていくと良いのだろうとぼんやり考えています。

kakehashi-dev.hatenablog.com

Step 0: No MTG Dayの導入

「集中した時間が確保が難しい」については1年前からも上がっていた声でした(or どの会社もそう?)。その対策として、Notion/Slackの見直しにあわせ、No MTG Dayの導入というのは先んじて行い、この1年間運用してきました。

下記のように経営会議や全社会議といった社内の公式の会議体を起点に、曜日別のサイクルを示した上で、水曜の午後のみ定例の会議の開催を原則禁止、というルールを導入しました。

導入当初ならびに1年経った今でもNo MTG Dayの評判はよく、少なくとも5日のうち半日は集中して取り組める時間があるということが生産性の担保や心理的なハードルの低さに繋がっているようです。振り返ると、どの曜日に設定するか・1日or半日といった論点はありましたが、あえて半日にしたことが「少なくともここは死守」という牽制を社内でも相互にかけられるようになったのではないかと考えています。

曜日について、正解はないとは思いますが、10Xでは水曜の11−12時に全社会議を実施していることから、一定社内でのワイワイ感は味わった上でそれぞれ集中時間を持てるといった流れが功を奏しているように感じます。週ナカということも良いかもしれません。実際導入前にヒアリングする際には「◯曜日がいい」「午前 / 午後がいい」といったゆらぎはみられたものの、最終は決めの問題なのでエイヤで決めました。◯曜日がいいという意見は今も聞くし、今後も変わりうるかもしれませんが、ないよりはある方が皆ハッピーだろうと割り切っている部分もあります。

また、形骸化しないか?というところは心配していましたが、a) 社内のリテラシー b) そもそものニーズの高さ(例 「木曜にできませんか?」といったオープンなコミュニケーション) c) 口酸っぱく言う といったことで概ね実効性をもっていると言えるかなと思います。

FB、だいじ

Step 1: イシューの抽出、ヒアリングの実施

現状理解

10Xの社員は120人です。まずは8月の実績を抽出し、現状理解を進めました。Corporate ITの原口さんにログを抽出してもらった上で、スプレッドシートで集計しました。

また、後述するように会議の主催者の自覚を強めたかったという思いもあり、主催者である人がどれほど時間を費やしているかも可視化しました。また、後述するように会議の主催者の自覚を強めたかったという思いもあり、主催者である人がどれほど時間を費やしているかも可視化しました。これは単純に順位が高い = 悪いということではないですが、皆自分の順位は気になるため、ヒアリング実施する際などの材料としてはよく機能したし、一度見直すきっかけにはなったかと思います。

イシューの抽出

前回のSlack/Notionの見直しでもそうでしたが、まずは何を解決するのか(=イシュー)の特定をします。イシューの特定のためには自分の頭で考えること、及びヒアリングやリサーチが重要ですが、今回は(社内の雑談や飲み会で)ある程度メンバーの課題意識はクリアであったため、下記のように書き下しました。

  1. 会議のオーナー(主催者)の役割と責任を明確化し、ルールが定義されている
  2. 会議の参加者としての心構えが定義されている
  3. 会議の実施量が可視化され、モニタリングされている状態を担保する
  4. 足元の会議の重複や過不足を解消し、定期的にチェックする仕組みを作る

💡 10Xでは「イシュー」という言葉がよく用いられますが、「〇〇をどうするか?」(疑問形)や「▲▲が最適化されていない」(問題提起形)ではなく「□□を構築する」(あるべき姿系)という形式が多くとられています。 (10XのNotionを引っ越しした話より)

ヒアリングの実行

その上で仮説のブラッシュアップと実ルールや仕組みの検討のためヒアリングを行いました(15件程度)。対象は役職者及びメンバーです。メンバーは各本部それぞれに + こうしたことに感度の高いメンバーを独断と偏見で選びヒアリングを実施しました。もちろん意見があればオープンに受け止める場は作るという前提はありますが、こうしたことを進め実行する上で皆の意見を聞く・全社アンケート等は必ずしも必要でないと私は考えます。もっと言えば、ヒアリング = 御用聞きではないため、抽出した意見をすべて反映できるわけでもなく、「話を聞いた」という証跡を残すことで納得度を高めルールや仕組み導入後の実効性を高める側面もあると思っています。

ヒアリングを経ての所感

前述のように今回は仮説構築のためのヒアリングというよりも、イシュー(≒課題)をある程度定めた上でヒアリングを実行しました。そのためヒアリング前後で向かうイシューを大きく変更はしていません。ただし、ヒアリングを踏まえて私自身の課題意識に影響が大きかった点が2点あります。

1/ ライン外1on1が多すぎる

10Xでは、カジュアルなものから業務の話まで「1on1」という名称で1対1のコミュニケーションが多く見られます。今では慣れましたが、スタートアップ及びソフトウェア企業が初めてだった私は当初新鮮でした。1on1はうまく使うと効果的なものですが、同時にリスクのあるものだとも思っています。

特に、私はライン外の1on1に対しての課題感が強いです。ライン1on1(社内ではライオン🦁とも呼ばれる)とは、評価者と被評価者との1on1であり、これは評価やメンバーのモチベーション維持のためにもきちんと実行がなされるべきものです。

一方ライン外の1on1とは、別の部門やチームの特定の個人との接続になります。もちろん部門横断で部門長が話す、といった場が効果的に機能する面もあるでしょう。ただし1on1、その中でも業務の話が中心になりやすいライン外の1on1については、そこに情報が閉じてしまうリスクを孕んでいます。ある人と話したことを定例、あるいは再度別の人と話すということも発生しえ情報伝達のコストが上がります。正直人数の多い定例の場よりも役職者への1on1があれば、その場の方がいいやすい、といったことはあると思います。ただCEOのyamottyが常々言っているように「平場で話す」*ということを常に問うべきだと思います。また平場で話すことは、話した本人以外の姿勢にも影響を及ぼすことだと思います。DMはなるべくやめましょう、という声がけをする会社は結構あると思いますが、こうした会議や1on1についても目を向けるべきと思います。

なお今回会議のあり方の見直しを行う上でヒアリングをしていると、ライン外の1on1について、役職者上位者からは「なくてもよい」、下位者(あくまで組織図上の表現です)からは「残したい」ということが多かったです。情報を得る、又はレイズするという意味で1on1の場は便利な側面もありますが、同様に情報取得やレイズが既に存在する部門定例等で担保できないか?は招待側も被招待側も一度考えていただきたいというメッセージも出しています。過去のなりゆきで残っている1on1について、経営や本部長であっても、完全に関わりがないわけでもないし辞退するのもなァ..という声もあったゆえ、今回のビッグバンによりかなり減る可能性を持っているのではないかと思っていました。(実際に定例のライン外1on1は300件 —> 100件に減った)

ビッグバン実行の際の告知には下記のようなコメントを入れました。

1点注意点としては、上記のライン外1on1については「定例(かつ無期限繰り返し)をやめましょう」というメッセージが強いです。逆に単発のレイズはもっとあって良いと考えています。定例のライン外1on1が10件以上もある役職者もいたため、今回の見直しにより余白がうまれ、メンバーからも単発のレイズがあげやすくなることを期待しています。

(何かに笑っているCEO)

2/ 会議主催者の責任感は伸びしろがある

10Xではあまり不毛な会議は少ないと考えています。他方で、組織の変化が大きいゆえ、もうその組織にいない人が主催者の会議が残っていることも。全員がなぜこの会議があるかわからない、までの極端なものはなくとも、これってそういえば何が目的なのでしたっけ?というものは意外とあるんだなという所感でした。

これは主催者が強いオーナーシップを持ち、その開催意図や目的の想定、そして解散も含めた期限の設定をすべきです。そのため今回「会議オーナー(=主催者)」と「参加者」に分けて特に主催者が何を満たすべきか、そして参加者は何をフィードバックして良いのか、ということを明示する必要があると感じました。

Step 2: 会議のルールの素案作成

さて、ビッグバン(会議を消す)話に中々いきませんが辛抱ください。余談ですが私は話が長いと良く言われます。それは2割は厳密さの担保のため補足事項が長くなること、それから8割は単純に余談が好きという性質ゆえです。「文章なのに話してるみたいに話が散らかってるね」という褒め言葉を折に触れて頂くのですが、先日はついにconclusion firstと言われる英語の文章でも同様のコメントを頂き、グローバルになったなァとひとりごちてました。

medium.com

さて本論です。

なぜ会議のルールを定義するか

今振り返っても社内のメンバーの印象はビッグバン(会議を消す)ところが大きいですが、イシューとして記載したように、会議がどうあるべきかの定義をしないと、会議をビッグバンしたとしてもまた会議の量が増えたり、質の改善も望めません。10Xは無駄な会議や準備のされていない会議は少ないですが、それゆえ特にルールや心がけについても特に定められたものはありませんでした。それゆえそのルールの定義を行いました。

会議には大きく分けて主催者と参加者の2つの役割が存在しますが、結局のところ会議を通した成果責任を負えるのは会議オーナー(=主催者)です。なぜなら会議の目的・アジェンダ・時間・招待者といった変数の殆どは会議オーナーによって規定されるためです。会議オーナーはこの責任と権限を認識し、そのための必要な設計と準備、及び期限を設定すべきです。そのため全体のルール、及び会議オーナー向けと参加者向けの詳細を作成しました。これらの文言は、私udonがドラフトの上、経営会議、特に本件について熱量の高かった我らがCTO Ishkawaの監修のもと記述をしました。

Ishkawaさんはスライドが(私とは対照に)衝撃的に少ない文字数でわかりやすく物事を伝える達人なのですが、イシューを解くためには会議が本当に解決策か?ということには課題感があったようです。下記ルールに記載にある「コトをなすには、i) 誰かが頭を捻って考えた上で、」は石川さんの言葉を借りています。

ルール制定の背景と全体ルール

会議オーナー(=主催者)と参加者の責任と権限

ルール詳細(主催者向け)

ルール詳細(参加者向け)

Step 3: 会議の全削除(ビッグバン)の実行

さて、本稿の主題である会議の全削除(ビッグバン)についてです。

実行内容

内容としてはその名の通り非常にシンプルで、全社員の未来の予定を全削除する、平たく言えば会議をぜんぶふっとばすということをしました。但し下記のお知らせの通り、社外や共有カレンダーにの予定等は削除の対象外としました。

除外の処理

特に実行の上で注意を払ったのが社外の予定です。社外面談にしろ採用面談にしろ、相手方からするとすっぽ抜かしてしまうと大問題です。実際の実行にあたっては性能と柔軟性を重視して、ローカルでのpythonでの実行に切り替えました(当初はGASでの実行を想定)。下記のようなロジックを作って安心安全な実行に努めました。

  1. 主催者が社外(社外アドレスから招待されているもの)は削除対象外
  2. 10X社員が主催者だが招待アドレスに@10x.co.jpでないものは含まれる場合は削除対象外
    • 細かいが、社内の会議だが会議室をとるために会議室のアドレスが招待に入っているものは識別して社外とならないような分岐を作り削除対象とした
  3. 詳細欄にZoomのアドレスが含まれるものは削除対象外
    • 10Xは社内はGoogle meet又はSlackハドルのため、Zoomが入っているものはすべて社外という実態があったため

率直に言って、これだけでは識別されないものもありました。例えば「〇〇社様 調整中」という社外との調整中の予定で社内メンバーのみ招待されている予定。第一回ということもあり、こうしたものの漏れはゼロにしたく、最後は私が1,700件の予定名を手作業で確認してQAしました(QAの経験とコネクティングザドッツしてますね)。「社外」「会食」といったキーワード検索及び目視での確認を2周しました。基本的にはタイトルで識別できると考えており、実際実施後クレームはきていません。

今後は半期に一度実施しようということになっており、今回の経験も活かし次回はより手作業を自動化する・prefixで「社外」と記載のあるもののみ残す、といったことはできていくと信じています。

再度の予定入れについて

再度の予定入れについては、実行(火曜日深夜)の後1日を挟んで、木曜朝(10時〜)開放としました。1日あけたのは、10XはNo MTG Dayである水曜日に一度真っ白なカレンダーを眺めるという余白を挟んでから再度入れること、及びなるべく早いもの勝ち(になってしまう側面は避けられないが)を軽減したかったからです。

前述したように主催者は特にそれを自覚いただきたいという思いがあっため、下記のようなフローチャートや主催者(オーナー)については記載の上告知しました。

実施のきっかけ

このビッグバンですが、きっかけはある日思いついたというのが正直なところです。私は走りながら考えるタイプのため、色々な人と日々話す中で、「皆会議減らしたいと言ってるのになぜ増えてしかいかないのだろう」という思いから、「じゃあ一度消しちゃえばいいんじゃないか」と乱暴なアイデアを思いつく。そこから社内でちょくちょくアイデアを当ててみると、見事に話した人全員(N=15程度)が賛成だったので、経営メンバーにあてて、実行が決まりました。

削除対象のログはすべてリスト(スプレッドシート)へ出力して参照可能にし、またカレンダーの情報であるicsのバックアップ方法(Googleカレンダーで数分で可能)も案内しているため、必要な会議は戻すことができリスクはほぼないようにしています。

前回のSlack/Notionの見直しの際もそうですが、こうしたことはトップダウンでやらないと難しい側面もあるため、特にCEOのyamottyとCTO Ishkawaの賛同を得られたことは大きかったかなと思います。

社内コミュニケーション

賛同が得られても、ある日いきなり消されても困ってしまいます。着想から実行まで約1ヶ月強でしたが、3週間前には週次の全社会議での一度実行の告知、ならびに1週間前に詳細の告知を行いました。

結果的にはスムーズにいったかなと思いつつ、実行にあたっては特に一緒に密に動かしていたCorpITの原口さんと「この時間軸だと安心安全の実行は難しい」「実行にどうしても時間がかかる」といったように健全な意味でぶつかりあいながら実行まで至ることができました。この場を借りて感謝したいと思います。準備の中では、文字通りログの抽出のスピードが100xしたこともあり、このあたりの技術的側面はかなり知見が溜まりました。このあたりはきっと原口さんが追って記事を書いてくれるはずです。

After story: 結果と振り返り

実行からまだ1週間しか経っていないこともあり、あくまで暫定での振り返りとなります。1週間経って、大体定例会議や必要な1on1は入った印象なので、一旦の振り返りとして記します。

定量面

1/ 会議の総量

全体の会議の比較です。正直まだ社内の懇親会のようなものも会議として出力されてしまっていて、本質的な比較ができていない状況ですのであくまで参考まで。例えば直近は期初のため社内で目標設定の面談(単発)が多くややそれらがややノイズになっていそうです。

2/ ライン外1on1

310件 —> 127件 (▲60%)

これは全体に比べて正確に出力できているので、比較できていそうです。当初課題感が強かったものの一つですが、これは明確に影響が出ています。実際、招待を送ったが辞退、あるいは見直しといったものも起こっているようです。

ライン外の1on1自体が悪というものではなく、適切な場で担保されるのが望ましいと思っています。社内での声を聞いていても、かなり整理されたという声を聞きます。また復活しても形式や頻度を見直した、という声を聞きます。私の上司の山田さんは14件から3件になっていました。

定性面

1/ 物理的に余白が生まれた

シンプルに余白が生まれたことでの喜びの声が届いています。シンプルに作業時間が確保できたことでコトをなすことへ集中力が高まっていると言えます。

繰り返しになりますが、会議が一律にNGというよりも、既存の他の会議体へのマージであったり、単発でアジェンダベースで実施するということを考えて頂きたいと思っています。

2/ 会議の位置づけの見直しが生まれている

そもそもこの会議のオーナーって私でしたっけ?どうしますか?という見直しが各所で起こっています。

余談1: ルールというものの立ち位置を考える

会議のルールについて告知をし、ビッグバンを実行しました。会議が減ったり見直しがかかっているという嬉しい報告も色々と聞こえてきています。その中で一つ困ったことが私の中にありました。それは、今回設定した会議「ルール」なるものはどういう立ち位置なんだ??という疑問です。

私もコーポレート部門で経営企画の仕事をしていますので、どちらかというと社内向けに案内やルールを出すことが多い立場にいます。10Xでは経営から積極的に方針のアナウンスもあります。「ルール」や「ガイドライン」など、「決まり事っぽいもの」が色々と増えていきます。社内のドキュメントを見ても「指針」「ポリシー」「ガイドライン」「ガイド」「ルール」etc.. 色々とゆらいでてウッとなります。私は自由を標榜する民なので、あまり縛られたくないなァと常々思ってます。その中でじゃあ自分が主体的に今回出すものは何に基づいていて、どういう強度のものなのか?ということに疑念が芽生えました。実際、今回策定した会議「ルール」についても最初は「ポリシー」「ガイドライン」とゆらいでいました。

そこで今回そちらの初期的な整理も行いました。結論から言えば23/10時点では、10Xでは下記のように「指針」というものが第一階層にあり、それ以下のルール(強制力あり)やガイド(強制力なし)が紐づく、という整理をして経営メンバーとも認識を揃えました。

新たに「指針」というポータルも作成しました。全社員が10Xにおける指針を見る際にはここにいけば良いという認知負荷を下げることを目指しています。また「指針」階層のものがボトムアップで乱立せぬよう本ポータルの編集権限は経営メンバーのみ、といった制御もかけています。

なおこれらはあくまで初期的整理と場所を作ったということであり、実際の整理は今後進んでいくものとしています。

今回の会議ルールについては10X オープネス指針に紐づいているという整理をしていますが、この指針自体も別の指針にマージされたりする可能性もあるかと思います。コーポレートに限らず事業部もその中でのルールやガイドを日々作りますが、それらもどの指針に紐づいているか?を明示することで、部門横断での情報へのアクセスのコストが下がると信じています。

余談2: いかに運用に落とすか

ソフトウェアの会社、そしてスタートアップが初めてだった私にとって10Xに入ってからの2年間で学んだことの一つは「いかに運用に落とすか」という問いを立てることです。経営企画という、中長期の未来のことを考える立場にありながら、私の好きな言葉は「刹那」で、友人からも「打ち上げ花火みたいに色々打ち上げて、たまに大きく花開くよね」と褒められ(?)ます。

一方ソフトウェアの世界では、(※私の視点ですが)いかに人が介在しない形で属人化しないか、(自動)運用に落とすかということが問われます。コーポレート側でも、元々こうした思考やスキルが高いメンバーが多いので、それこそ具体ではZapierやSlack WF、GPTを活用していかに人間が考えなくとも運用が回るかということを考える機会が多いです。

今回のビッグバンの実行、ならびにルールが実効性を持つためには、それを推し進める人のパッション(例 わたし)はやはりあったとは思っています。会議の再度入れも、悪気なくすぐ入れてしまったメンバー(含む 経営メンバー)にも強い気持ちでストップをかけていたりします。

今回のビッグバンは社内でも好評であり、「次はいつですか??」という問い合わせも複数あるため実行されるであろうと思っています。実際の実行にあたっては前述のCorpITのメンバーが完全に担当してくれており、私は当日の見守りも不要ということだったので完全に手を離れています(私は酒を手にしていました)。ルールについては完全に仕組み化が難しいですが、例えば「無期限繰り返しのイベント設定は原則禁止」については、月次でログを抽出し、繰り返し期限のカラムが空欄のものに対してFBをかけるといったことを考えています。(なおこれはGASで一気に流し込むという方法もありつつ、そもそも一生必要な会議なんてないというメッセージも込め、一旦は人間にFBをするという判断をしています)。ルールの議論の際にも、仕組みに落とさないとルールはすぐ形骸化するしノイズになる、という議論もしています。

まだ運用に向けての改善点はありますし、きちんと運用がなされるかは今後次第ではあります。が、今回の見直しを経てメンバーのマインドへの影響は一定あると手応えを感じているので、今後も運用がなされると信じています。

余談3: Food for thought

food for thought (思考の糧)という言い回しが好きです。まさに余談ですね。今後考えるべきこと、みたいなニュアンスで書いていますが、今回はやりきれてないことを箇条書きで雑に書きます。

  • 会議ルールを自動で運用すための仕組みづくり(前述の繰り返し設定TRUEのものにFBをかけることに加え、議事録のテンプレの作成、Shopify流の会議コストの算出等)
  • 月次レポート(構想は描いているが、まだできていない)
  • 会議後のメモはどれくらい取るべきなのかのガイドの配備
  • 会議の種別の分類とprefixの設定(そもそもやるかどうかの含めての検討)
  • 個人的にブロックしている枠についてのガイドをつける(やってもよいが、新しくはいったメンバーや関わりの少ないメンバーのコミュニケーションの障害にならないように)
  • 1on1をもっと分解する。ライオンとそれ以外の役割の違いを明確化する
  • よりよい会議にするためのtipsの共有
  • 良い会議の定義、というと本が1冊書けそうだがせめてイマイチな会議の定義を作る(例 ゴール設定が曖昧、必要な人がいない・不要な人がいる、1回あたりの時間x頻度が最適化されてない)
  • 会議の実施時間を寄せたい、スキマ時間を生むための工夫
  • ランダムでもいいから、行われている会議の議事録がtwitter的に流れるのも面白いかも
  • トップダウンで設定する公式会議体の一覧とマスタを参照可能な状態な場所におく など

余談n: おわりに

お疲れ様でした。ここまで1.5万文字(しかも画像内の文字含まない)を読む人がいるのだろうかというセルフツッコミが溢れていますが、一旦書ききりました。

余談ですが、私はよくものをなくします。多分iPhoneは累計7,8回なくしています。財布は最近なくしてなかったですが、この前なくして4年ぶり5度目でした(甲子園強豪校みたいですね)。財布をなくすと困るのですが(困る度合いはものによって異なる*)、相方には怒られます。まあでも死ぬことはありません。また財布かって、お金を稼ぐ日々です。顔認証などですべての決済ができる世の中を5年以上前から望んでいますが、まだ世の中がついてきてくれてません。何がいいたいかというと、再発行できるものはなんとかなるということです。不可逆な人の信頼や家族、大切な友人は失ってはいけません。会議をなくすことはこわい気持ちもあるかもしれませんが、いつでも再発行できるので強い気持ちで明日も生きていきましょう。

そして最後の余談ですが、私はこの記事が最後の仕事で10Xを卒業します。個人的な事情でカナダのバンクーバーへ移住します。あまり込みいった事情もなく、日本も30年近く暮らしてきたので違う生活もやってみようというポップな感じです。仕事も特に決まってないので、空白からのスタートです。私はビッグバンを(会議を)吹き飛ばすニュアンスで使っていたのですが、どうも破壊よりも始まりっぽいです。なので私自身もビッグバンだなァと、PC返却を迫るITメンバーを背中に、最終出社日に鬼のようにこの1.5万字を打っています。

*再発行の工数はマイナンバー>免許証>銀行キャッシュカード>保険証>>>クレカ

月次ではアップデート(月報)を書こうと思ってます。またどこかで会いましょう!